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女子流のリーダー交代とリーダー論 ~アイドルグループにおけるリーダーとは~

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先日、STK氏から緊急発表と称して女子流の人事異動が告げられた。

新リーダー:庄司芽生
副リーダー:新井ひとみ
ボーカルリーダー:小西彩乃
ダンスリーダー:中江友梨
役職なし:山邊未夢

なかでも、注目を集めた話題は、山邊未夢から庄司芽生へのリーダー交代。

山邊がリーダーから外れることは良いが新リーダーにはちょっと「?」、というのが正直な感想だ。めいがリーダーになることによって、女子流にとってもめいにとってもプラスの働けばいいのだけれど、そのイメージがなかなかできないのである。

いくつかポイントを当てて考えてみよう。

 

  1. 山邊はリーダーとして適任ではなかったのか
  2. めいはリーダーとして適任か
  3. 誰が最善の選択か
  4. アイドルにおけるリーダーとは

 

 

山邊はリーダーとして適任ではなかったか

半分NO、半分YES、というのが個人的な考えだ。

山邊はリーダーの自覚はあったし、メンバーをまとめていこうという意志がMCやブログの節々に表れていた。特に3rdツアー以降はそれが顕著だった。その意味では、リーダーに相応しくなかったとは言えない。しかし、そんな意識の強さやリーダーとしての責任が山邊個人にとって、あまりよくない方向へ働いていたのもまた事実だ。3rdツアー以降の山邊のパフォーマンスは、肩に力が入りすぎていた。

もっと山邊らしく自由に伸び伸びやってほしい。リーダーの重責から解放し、パフォーマンスに集中してほしい。リーダーそんな運営の願いが込められているのではないか。個人的には、リーダー交代は山邊にとっては良い方向に働くのではないかと思っている。

 

めいはリーダーとして適任か

なかなか難しいが、個人的にはNOだ。もともと人見知りな性格だし、ライブのときも積極的に話すほうではない。どちらかというと大人しく、リーダーシップを発揮するタイプではないのではないか。STKさんがなぜめいをリーダーにしたのかはよく分からないが、めいがどう思っているのか、リーダーとしてどう変わっていくのか、期待半分、不安半分といったところだ。

 

誰が最善の選択か

感覚的には、めいよりも中江のほうがリーダーっぽい感じはする。中江の最近のパフォーマンスの成長ぶりは驚くばかりだし、メンバー1の明るい性格で、メンバーの精神的支えにもなれるのではないかと思う。

ただ、これは「中江がリーダーになるべきだ」という話ではない。「女子流メンバーであえて選ぶなら」ということへの回答である。

女子流はとても大人しい優等生グループで、リーダーにうってつけの人材がいないのが正直なところ。また、そもそも女子流にとって、リーダーが本当に必要なのか、個人的には良く分からない。

 

リーダーとはどうあるべきか

アイドルグループのリーダーとはどうあるべきか。というのは、一つ興味深いポイントだ。

似たようなポジションにセンターというものがある。
これは、端的に言うと、グループの顔だ。

女子流でいうと新井ひとみ。女子流にリーダー的な人材がいないと言ったが、センターはどう見ても新井ひとみだし、新井ひとみはどうあがいてもセンターだ。

ここで、いくつかのグループのセンター/リーダーを挙げてみよう。

 センターリーダー
AKB48 前田敦子 高橋みなみ
ももクロ 百田夏菜子 百田夏菜子
モーニング娘。 鞘師里保(?) 道重さゆみ
℃-ute 鈴木愛理 矢島舞美
SUPER☆GiRLS 前島亜美 志村理佳
でんぱ組.inc 古川未鈴 相沢梨紗
アップアップガールズ(仮) 特になし 仙石みなみ(仮)※足軽

 

意外かもしれないが、こう見るとセンター=リーダーのケースはそれほど多くない。グループの顔であるセンターがリーダーになる、というのは一見シンプルな考え方だが、センター=リーダーとは限らない。求められる役割が違うからだ。

 

では、リーダーとはどのような存在なのか。
たかみなのリーダー論について「AKB48の戦略!」という本からいくつか引用しよう。

(なぜ自分がAKBのリーダーになったのかと問われて)誰もリーダーになる子がいないなら、そして誰かがリーダーをやらなければAKBがよくならないなら、私がやりたいと思いました。AKBが大好きで、大好きだから絶対に守りたい気持ちがあった。

 

(田原さんの「キャプテンやリーダーって、どんな覚悟が必要なんですか?」という質問に対して)やっぱり自分ができなきゃいけないな、というのがすごくあります。ダンスの振りにしても生活態度にしても、やっぱり身内に認めてもらえない人はダメだと思うんです。

 

完璧すぎる人間には、やっぱり誰もついていきたくないですよね。(中略)そういう(抜けている)部分があるほうが、私のなかにみんなが入ってきてくれる。ダンスも誰よりも練習しますけど、わからなかったら必ず他のメンバーに聞きます。恥ずかしいとは思いません。自分よりうまい子に「これどうやるの?」と聞くと、自分の扉が開き、みんなが入ってきてくれる。

 

たかみなは、秋元氏に「本当のリーダーシップがなんたるかをたかみなから教わった」と言わしめるほどのリーダーである。
上記はたかみなの考えの一部を抜粋したに過ぎないが、グループを良くしたい、引っ張っていきたいというグループへの愛が何よりも大きく、リーダーの根幹だというのがわかる。そしてその想いがメンバー間の思いや情熱がバラバラになるのを繋ぎとめる精神的支柱の役割を果たす。

 

また、たかみなはリーダーとセンターの違いについても語っている。

(センターとリーダーの役割の違いについて)キャプテンや総監督という私の場合は(中略)、一歩下がって視野を広げてみんなを見て「こうしたらチームがもっとよくなるな」ということを、ライブの前とかにメンバーに言って、みんなが呼応したりするんです。しかし、センターというのは逆に、それをしちゃいけないな、と思います。(中略)センターは、凛々しく前だけを見て立っていればいい。前は風当たりが強いから、その風だけを受けて、頑張って耐えてほしい。あとのことは大丈夫、私がやるから任せてよ、という役割分担ですね。

 

センターは外から見たグループの中心である一方で、リーダーはメンバーにとっての中心である、ということができるかもしれない。
リーダーは外から指名されるより前に、内側から自然に決まっていくものだろう。リーダーに求心力がなければ、それはグループにとっても不幸だ。人数が多いグループにはリーダー必要不可欠な存在となるが、逆に少人数グループには必ずしもリーダーは必要ではないかもしれない。それぞれのメンバーをまとめる必要性が低いからだ。

人数が少ないと、リーダーシップを発揮できる人材が必ずいるとも限らない。
消去法で選ぶくらいなら、あえてリーダー置く必要もないのではないか。

 

さて、話は女子流に戻る。
本当に女子流にリーダーが必要なのか、というのは割りと真剣に感じていることで

MCリーダー:中江
ダンスリーダー:庄司
リーダー:なし

という選択肢もあったのではないか、と思ってしまう。
女子流に明確なリーダーは不要だと思うし、めいてぃんに負担がかからなくて済む。もし、意識的にリーダーが必要であると考えているならば、それは、運営としてグループをまとめる必要があると考えているか、あるいは、リーダーに任命することでそのメンバーの成長(リーダーのポテンシャルがある)を促す意図があるかのどちらかになる。ただ、後者はそのメンバーに良くない影響を及ぼしてしまう可能性もある。リーダー・山邊はそうであった、と個人的には思っている。女子流は、めいをリーダーにおいてどうしたいのだろうか。山邊と同じことにならなければよいけれど。


幸い山邊も元気にやっているようなので、今後新リーダー・庄司芽生のもと、女子流がどうなっていくのか静かに見守っていきたい。

 

 

AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集)

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